リアル  井上雄彦 | 偽脚本書きが漫画に挑戦

リアル  井上雄彦


 リアル 1~4巻 以下続刊



ストーリー バスケをやめてから何をやっても上手くいかなくなった男、野宮朋美が古ぼけた体育館で車イスの男、戸川清春と出会ったことから物語は始まる。彼らが直面する現実とは…?

リアル


 タイトル名にもあるとおりとても現実的。この場合の現実とはおそらく悲観的な形。決してスラムダンクのように、トントン拍子にうまくいくことは無い。登場する人物はみななんらかの悩みを抱えている。またこの漫画の主人公と思われる、戸川というキャラクターは、骨肉種という足の病気で車椅子になってしまう。車イスバスケを通して生きる希望を見つけていく姿が、僕らがいつも抱えているコンプレックスから立ち直ろうとする時とダブる。



キャラクター設定


 この漫画では、身体障害者について扱っている。しかし身体障害者の人達がかわいそうだ。という所を強調しないように持って行く所がうまい。戸川清春が属する車イスバスケのチームでは、真剣にバスケをすることを望む戸川を疎ましく思う人間も登場する。全てが平行であるということを訴えたいのだろう。また嫌なキャラクターの代表みたいな高橋も交通事故で生きる希望をなくしてしまう所もすごくうまい。



見所 僕らが生きている中で、人に誇れるような名誉を手にすることができる人間は圧倒的に少ない。


この漫画はどうにかして現状を変えようとする時、あらわれる充実や喜びをとても綺麗に描いている。

この漫画では読む人、全てが現実の今の自分を肯定できるような誰にでも手にすることができる充実を描いている。 人を選ばない漫画。