「鋼の錬金術師」 最前線漫画特集 考察 前編
ストーリー 錬金術が科学として認められている世の中。
この世界では、等価交換の原則が存在する。何かを得るためには同等の何かを犠牲にしなければならない。
弟アルと兄エドは、母親をなくした。錬金術で母親を蘇生しようとしたが、アルの体全てとエドの片足と片手を失ったにもかかわらず母親は蘇生しなかった。なんとか兄のエドは、鎧にアルの魂を定着させることには成功する。
アルとエドは、自分の身体を取り戻すために賢者の石を探す旅に出る。
作者はなんと、女の人!
考察: 等価交換の法則を基本原則にしたワンアイディアを膨らませるだけ膨らませた傑作。
エヴァンゲリオンが、アニメ放送で一つの歴史を作ったが、おそらくこの作品も歴史に残るだろう。
この作者は、なんと女の人だった!実名は荒川弘子なんだそうだ。どうりで、この作品では
兄弟愛や家族愛を軸に描いている。 おそらく男性の作家は描かないであろう部分を紹介する。
何話だったか忘れたが、出産に主人公が偶然、立ちあうシーンがある。主人公のアルとエドはあたふたして
何もできないのだが、出産した女の人は、「そこにいてくれたじゃない」と言うシーンがある。これは生命の
尊さをあらわすためなのだろうが、私だったら削る。というか書きもしない。これは私が男だからだろう。
しかしこの作家は、普通の凡夫の男性作家は思いつかないようなエピソードを次から次へと盛り込んでい
く。生まれた娘がかわいくてしかたがない夫は職場にいる人間に写真を配ったり見せびらかしたりする。
これも私なら描かない。でもこの作品では、かなりの機会このエピソードを使っている。
つまりこの作品では、日常を混在させるという少女漫画と、大きなテーマを扱うことに長けた少年漫画の
特徴を両立させている。
批判すらできない傑作を作り上げたこの作家がうらやましい。こういう作品を作れる可能性のあるこういった
職業を誇りに思わなければならない。
ちゃんとしたストーリー考察は、次の回にします。 それだけの価値がある。