「ベルセルク」 キャラクターとは人間の置かれた立場の象徴! | 偽脚本書きが漫画に挑戦

「ベルセルク」 キャラクターとは人間の置かれた立場の象徴!

ベルセルクtaiki  1~28巻 以後続刊  作者 三浦健太郎



ストーリー 天才的な戦略で平民から貴族にまでのし上がった鷹の団の団長グリフィスは、唯一、心の底から信頼していたガッツという主人公の鷹の団の脱退によって心のバランスを失ってしまう。そして貴族にまでなった地位を、王様が溺愛していたお姫様を夜這いしたことがバレて罪人になってしまう。


 拷問によって身体も心もボロボロになったグリフィスは、自殺しようとする。その時このファンタジーでのキーアイテムであるベヘリットというアクセサリー(グリフィスが気に入っていつも見につけていた不気味なアクセサリー。占い師によると王者になる人間が所有する運命にある)がグリフィスと共鳴する。


 キーアイテムではこれまで愛してきたものをいけにえにすることによってお前は王者になれるといわれる。

グリフィスはこれまで自分が王様になることだけを生きがいに死にもの狂いでやってきたことを思い出して、親友であるガッツや、いままでともに戦ってきた鷹の団をいけにえにすることを選ぶ。


 ガッツともう一人の女性キャスカだけが生き残る。ガッツは、グリフィスに復讐を誓うのだった。



構図: グリフィスというキャラクターは、夢を叶えることができるだけの能力を持つ人間の象徴。だが別格の人間であるがゆえに孤独に陥っている。またガッツというキャラクターは、なにをやっていいのかわからなくて悩みながら人に影響を受ける人間の象徴。ガッツはグリフィスに認められるためには自分で手にするなにかが必要だと感じグリフィスのもとを離れる。また脇役としてコルカスという人物は、夢を追っていたが、自分の力量に気づき現実を見て生きていこうとした人間の象徴。またジュドーは、なにをやってもうまくできたが一番にはなれなかった人間の象徴。


このベルセルクの14巻までのテーマは「夢」である。生きていくためには不可欠ともいえるこの要素には数多くのジレンマがある。夢を見て突き進む人間を社会は認めているにもかかわらず夢を達成する人間は極端に少ない。夢を見て突き進んだ人間が失敗した時、社会はその人間を努力が足りなかったばか者ということになる。また夢を追っていきている人間をうらやむものがいて、また夢を追う人間を突き落とそうとする人間も少なからずいる。


 このジレンマを、8巻でのガッツが鷹の団を脱退する時に引きとめのために話し合う酒場のシークエンスと13、14の夢のために苦しみぬいたグリフィスがなお夢のために仲間をいけにえに差し出す場面によく表れている。 


 この作品は、主人公格の人間がとても象徴的に描かれているため、とてもわかりやすい。