「ピンポン」から見る漫画の美学 | 偽脚本書きが漫画に挑戦

「ピンポン」から見る漫画の美学

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ピンポン 全五巻 松本 大洋

 

 

内容:ペコとスマイルの、片瀬高校の卓球部に所属する幼馴染の二人が主人公である。ペコが「ペコ」と呼ばれる所以は、卓球は本当に強いが、自分の才能に自惚れている処があり、先輩に対しても挑発的だ。スマイルは、決して笑わないからペコがあえて「スマイル」と命名した。内気で無口だが、やはり卓球は強い。二人は噂の中国人留学生を迎えた辻堂学園高校卓球部の偵察に出かけ、留学生のチャイナこと孔文革と対面する。チャイナと卓球をしたペコは、一点も獲れずに敗北する。暫らくして片瀬高に、髪も眉毛も剃りあげた、スキンヘッドの高校生が参上する。海王学園高校卓球部のドラゴンである。ドラゴンは、絶対にインターハイで優勝すると宣言する。(抜粋)得に才能のない人間だが努力は人一倍する人間「アクマ」の登場シーンはどれも必見

 

 

脚本考察:「台詞の臭さ」がとても素晴らしい。これは漫画という媒体を最大限に活かした結果だ。実写を舞台にする人間が漫画を書くのは危険だ。この美学を理解できない人間は失敗する。「臭さ」を楽しめない人間は漫画を書くべきではない。それ程「台詞の臭さ」 「競争原理から離れることで見える景色さ」(アクマの台詞)こんな台詞を高校生が言うわけがない。極めつけは「笑止」(ドラゴン)こんな台詞言わないよ。高校生は。日常で使わない言葉が、漫画の世界ではすんなり染み込んで感動できる。これが私が漫画を愛する理由だと思う。本当に名作です。これほど濃密な時間を描ける人間のスキルを是非盗もう。

 

 

 

 

 

アドバイス:ときどき描いていると、「こんなことで人を感動させられるのか?」と怖くなる事がある。そんな時は自分の大好きな作品を読んで「感動」しよう。漫画や映画、ゲームが三度の飯より好きな人間のはずだ!君は。素晴らしい活動だということをしっかり頭に叩き込もう。じゃあ面白くないのは?自分のせいにほかならない。しっかり勉強だ。次回は脚本、漫画を書くための有益な書物を紹介する。是非参考にしてほしい。ただしまず一回実用書を読む前に、なんにもわからない状態で脚本を書いてみよう!実用書の欠点はそれを学ぶことによって突き抜けた感覚が削り取られてしまうことにある。隙だらけでもいい。まずは自分が書きたいことを「適当」に書いてみよう!そして実用書でテレクニックを学ぼう。順序を間違えると修正が難しくなってしまう。